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大阪地方裁判所 昭和32年(ワ)3949号 判決 1958年10月22日

原告 藤崎芳蔵

被告 松尾漠 外二名

主文

被告等は原告に対し連帯して金四七五、〇〇〇円及びこれに対する昭和二九年六月一日から支払済まで年六分の割合の金員を支払え。

訴訟費用は被告等の負担とする。

本判決は被告等に対し各金一五〇、〇〇〇円の担保を供するときは仮りに執行できる。

事実

原告訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決と仮執行の宣言を求め、その請求原因として、

「(一) 訴外久保文四郎は昭和二八年四月一日、三重県阿山郡大山田村大字下阿波二二八五番地二二八六番地上所在の製材工場の土地建物の二分の一共有持分権を訴外三東林業株式会社(訴外会社)に代金四七五、〇〇〇円、支払期限、昭和二九年五月三一日の約定の下に、売渡した。

(二) 訴外会社の取締役であつた被告等は、昭和二八年四月一日訴外会社の右代金支払債務の免責的債務引受をした。

(三) 被告等は商法第五一一条第一項により、各自連帯して本件債務を負担するものである。

(四) 訴外久保文四郎は昭和三二年八月九日被告等に対する右債権を原告に譲渡した。

(五) 訴外久保文四郎は被告等に対し昭和三二年八月一一日到達の内容証明郵便を以つて右債権譲渡の通知をした。

(六) よつて原告は被告等に対し右債権金四七五、〇〇〇円及びこれに対する昭和二九年六月一日から支払済まで年六分の割合の損害金の支払を求める。」

と述べ、

被告等の主張の抗弁に対し、

「被告等主張の抗弁事実中、久保文四郎が被告林よりその所有のワイヤーロープの所有権の譲渡を受けたことは認めるが、右は本件債務の代物弁済として譲渡を受けたものでなく、訴外会社に対する昭和二九年一月一八日貸付の金五〇〇、〇〇〇円の貸金債権の一部の代物弁済として譲渡を受けたものである。」

と述べ、

証拠として甲第一ないし第三号証を提出し、証人南出一雄、同久保文四郎の証言を援用した。

被告等は「原告の請求を棄却する。」との判決を求め、答弁として、

「(一) 原告主張の(一)、(五)の事実は認めるがその余の事実は争う。

(二) 仮りに被告等が訴外会社の債務の引受をしたとしても、被告林は、昭和二九年頃、本件債務の弁済に代えて、被告林所有のワイヤロープの所有権を久保文四郎に譲渡した。」

と述べ、

甲第一、二号証の成立を認め、甲第三号証の成立は不知と述べ、甲第一号証は久保文四郎の要求に基き被告等に請求しない約束の下に久保文四郎の気やすめのため作成したと述べた。

理由

原告主張の(一)、(五)の事実は被告等の認めるところである。

成立に争ない甲第一、第二号証、証人南出一雄、同久保文四郎の証言によれば原告主張の(二)、(四)の事実を認めることができる。

被告等主張の代物弁済の抗弁事実中、久保文四郎が被告林よりその所有のワイヤロープの所有権の譲渡を受けたことは原告の認めるところであるけれども、証人久保文四郎の証言によれば、右は本件債務の代物弁済として譲渡を受けたものでなく、訴外会社に対する昭和二九年一月一八日貸付の金五〇〇、〇〇〇円の貸金債権の一部の代物弁済として譲渡を受けたものであることが認められるから、被告等主張の抗弁は採用できない。

主たる債務者の商行為より生じた債務について、数人が債務の引受をしたときは、重畳的債務引受、免責的債務引受のいずれの場合でも商法第五一一条第二項の準用により、債務引受をした数人は、特約のない限り、各自連帯して債務を負担するものと解するのが相当である。

よつて原告の本訴請求は正当であるからこれを認容し、民事訴訟法第八九条第九三条、第一九六条を適用し、主文の通り判決する。

(裁判官 小西勝)

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